Diploma Selection
酒というものは、不思議なものである。
長く親しまれてきた飲み方があり、それを崩すことに眉をひそめる人もいる。日本酒もそうだし、ワインもまたそうであった。
けれど、酒は本来、人を楽しませるためのものだ。
暑い盛りに汗をかき、喉が渇いた夕暮れ。そんな日に、少し軽やかに日本酒を楽しみたいと思うのは、ごく自然なことではないか。
その答えのひとつが、炭酸で割るという楽しみ方である。
炭酸は日本酒の個性を消すどころか、香りや甘み、酸味、旨味を軽やかに引き立て、一本ごとにまったく違う表情を見せてくれる。旅手箱では、この飲み方を「ポンボール」と呼び、夏にこそ味わっていただきたい日本酒として親しんでいる。
今回は、炭酸を合わせても香りと味わいがしっかりと残る、とっておきの三本をご紹介したい。
今月は、来店したみなさんが楽しまれている、春らしい華やかなパッケージの春霞を思わせる「にごり」の生酒をご紹介したいと思います。
(1)弥右衛門 純米吟醸 日晴鳥(ひばり)の心【春限定酒】 720ml(福島県)
(2)刈穂 春KAWASEMI 720ml
(3)美禄 純米吟醸 滓がらみ生原酒
本来は取り除かれるもろみをあえて残すことで、酒造りの違いがより鮮明に感じられるのが、かすみ酒・にごり酒の醍醐味。蔵ごとに異なる旨みや質感の違いを、ぜひご自身の舌でお確かめください。